まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

孤独になるために旅をする

近頃旅に出たい欲が高まっている。

 
理由が体が知っている。疲れのようなだるさではなく、何となくそわそわし始める。
何かの外圧から逃げだすために旅をしたいと思うのではなく、どちらかというと体の内側からふつふつとわき上がってくる。なので、旅をするのは少なくとも「日常から抜け出して非日常を味わいたい」からという理由とは別にある。
 
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初めての海外旅行でいきなり2週間3カ国を訪れた。ずいぶんと欲張ったスケジュールを組んでしまい、最後の方は食傷気味だった。体調も崩した。
 
始めて訪れる土地では写真をたくさん撮った。けれど、写真をおさめることが目的になってその土地を感じることをすっぽり抜けていることに気付いてからはカメラを構えることは少なくなった。正確に思いだすにはカメラに焼き付けるのが一番なのだろうけど、一度シャッターを押してしまうとそれで満足してしまう。はい次、はい次と流れ作業のように記録するのは味気ない。
今ではカメラにおさめるのははじめにある程度観察してからにしている。
 
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旅先では毎日日記を書く。その日見た光景や訪れた土地で気付いたことなどを書いているのだけど、次第に自分のことを書いている事に気づく。その場所を訪れるまではこんなところなのではないだろうか、と予想を立てていたが、実際にずれている事はよくある。そう考えていたのは何でだろうか、とその理由となった原因をたどっていくと、どこかで読んだ文章の中から自分の妄想が加わってイメージが構成されていた、なんてことがある。
 
日記を書くのに没頭しているのは孤独な時間ではあるが、そこから我に返ると深い海から海面に浮かびあがったようなすっきりとした気持ちになる。海の中であれこれ考えたことが今の私につながっている。いわば必要な孤独なのだ。
 
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ヤマザキマリさんといえばテルマエ・ロマエが代表作だけど、私は「世界の果てでも漫画描き」
という作品も好きだ。内容はこれまでの作者が訪れた様々な国での体験が描かれている。
漫画の中で紹介されているのはいわゆるよく知られた観光名所ではなく、キューバやチベット、シリアなどのいわゆるメジャーではないけれど希有な体験をしてきたヤマザキさんの姿を垣間見える。
(私が一番気になったのはシリアで、現在は訪れるのは難しいが、落ち着いたらぜひ行ってみたい国の一つになった)
 
 
 

世界の果てでも漫画描き 1 キューバ編 (創美社コミックス)