まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

サービスの行方

先日近所のドラッグストアで菓子を買った。同じ商品の味違いのものだった。
レジで商品を渡した時、対応した店員は金額を伝えた後
「おまとめしてよろしいですか?」
といった。
その店員がどのような意図で行ったのか分からなかった。同じ菓子なのに、何故わざわざ分ける必要があるのだろうか?とどう返答すればいいのか困惑した。しかし、特に分けてもらう必要もないので「はい」といった。
 
その後、何故このようなことを聞かれたのかが分かった。ドラッグストアといっても今はどこへ行っても洗剤やシャンプーなどといったトイレタリー商品や医薬品の他にも菓子や飲料を置いている。
菓子類と洗剤類をまとめた袋に入れてしまうと洗剤の匂いが菓子に移ってしまうのを好まない人もいるだろうし、別々の場所に収納するものをまとめてしまうと、不便になるため、別けてほしい人もいるだろう。
 
しかし、今回は種類は違えど、どちらも菓子であるので上記のような不都合は生じない。
ということは、この「おまとめしてよろしいですか?」はこのドラッグストアの接客マニュアルの中に組み込まれていたのだろう。商品を見なくても、一言客に聞いておけば余計なトラブルは発生しないのだから。
 
***
 
毎週どこかで買い物をし、何人もの見知らぬ人に接客をうける。接客というとサービス料金が発生する少し高い店で受けるものの印象があるので、より実質的に言うならば「金のやり取り」と言えばいいだろうか(非常に味気なくないものになるが)
 
商品を買うために金を支払う。その時に接する店員はあくまで商品の合計を出し、支払うお金を提示し、客が支払った金額にお釣りとレシートを渡す。最低限それだけやっていれば十分で、特にそれ以上のことを要求していない。
 
けれども、ごくたまにそのやり取りの中で不都合があると、とたんにその店員に対してマイナスの印象になってしまう。逆によどみなく進むことが当たり前になっているせいか、プラスに振れることはめったにない。
仮に不都合があったとしても、彼らの多くはアルバイトであることを知っている。だからたとえそこで何か不便さを言ったとしても、それが対応の改善につながることはほとんどないだろう。大抵はボトムアップではなく、トップダウンで指示がくるものだから。
 
なので、たまにレジの店員に怒りをぶつけている人を見てしまうと、怒っている人よりも怒られている彼らに同情してしまう。サービスは無形なものであるのに、責任は大きくなることもある。その匙加減が難しい。
これまでレジの接客を経験していない自分としては想像することしかできないが、客から評判の良い接客をするのは中々ハードルが高いものだろうと考えている。
 
***
最近読んだ新聞の記事で「コンビニの役割の拡大」というものがあった。既に日本全国に展開されているコンビニエンスストアは立ち上げ当初はスーパーの商品のうち一部を移管したもののようにとらえられていたが、今では各PBが代替してきていると同時に、ATMや税金の支払いなどのサービスが受けられるようになった。
 
全国にコンビニが点在するようになった結果、高齢者にメリットが生まれるという。単身で暮らしている高齢者は歩いていける距離には限りがあり、その範囲にコンビニがあれば、わざわざ遠いスーパーに行く必要もない。また、コンビニでは単身者向けの既に調理された食材が取り扱われている。将来は他の業種と協力して高齢者が生活しやすいサービスを提供する日が来るかもしれない。
 
そうなった時に、コンビニの接客はどうなっているだろうか。
もしかしたら、様々な業界の中で一番優れた接客がコンビニなる日が来るのかもしれない。