曖昧な優越感
数年前マクドナルドがプレミアムコーヒーを100円で提供する、というニュースを見た時に感じたのは
A:100円にしてはプレミアムな味
B:プレミアムなコーヒが100円というお得感
どちらなのかはっきり分からなかった。今では各コンビニエンスストアで当たり前のように提供されているコーヒーの先駆けになったこの「プレミアム」という言葉が最上級に近いものから、ワンランク上(=最上級ではない)のような微妙な意味の違いになったのは一杯のコーヒーにつけたこの言葉から始まっていると思っていた。
調べてみると飛行機の座席でプレミアムエコノミーという種類がある。どうやら始まりはエコノミーとビジネスクラスの極端な差を解消するために生まれたらしい。この場合のプレミアムはワンランク上のエコノミーであって、ビジネスクラスより上という意味ではない。(エコノミー<プレミアムエコノミー<ビジネスクラス) (Wikipediaによると最初の導入されたのは1991年だそうだ)
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先日プレミアム牛丼、という普通の牛丼よりも上質な牛肉を使っている(とされる)牛丼を食べた。
食券機を見ると、一番目立つ所に「プレミアム牛丼」という言葉が目に付く。
ちなみに、普通の牛丼は売られていなかった。疑問に思って調べてみると、
丼物の量を表す上、中、並よく見かけるが、丼の具の質が1種類しかなければ、質の比較をしなくなり、それ(上質のものを食べること)が当たり前になっていくのではないか、と思うのだった。
ただ、最近の牛丼チェーン店には豊富な種類がある。丼単品だけではなく、定食というアレンジもできるし、鰻丼を扱っている店もある。店を選ぶ選択肢がない場合は単なる同じ系統のプレミアムなものを選ぶよりも別のより高級なものを選択できるようになってきた。
鰻であれば鰻屋に行けばよりおいしいものが食べられるだろうし、雰囲気もいいだろう。しかし、それでも鰻をメニューに加えたのは、少しだけぜいたくしたい時に他の店に行く煩わしさを覚えることなく、注文できるというメリットを見越しているのかもしれない。
プレミアムという言葉がワンランク上という意味で氾濫した今ではその言葉が入った商品を選ぶことで気軽な優越感に浸ることができる。しかしそれはあくまでエコノミーとビジネスクラスの間のプレミアムエコノミーのようなもので、最上級ではないことは妥協したくない買い物をするときには期をつけておきたいところである。
*話は変わるがこの牛丼チェーンのメニューの閾値(許容範囲)はどれくらいなのだろう、と考えはじめると面白い。個人的には1000円未満だとは思っているのだが)
**閾値については以前別の記事で書いた。
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ちなみに、プレミアム牛丼は肉の量に比べるとご飯の量がプレミアムだったので残してしまった。
肉の質は特に印象に残らなかったので、多分もう食べることはないだろう。