預言者
預言者という映画を見た。
たまたま新聞でその映画の事を知り、面白そうだったので見てきた。
内容は傷害容疑でつかまった19歳の少年が刑務所の中で自分の居場所を見つけ出していくという話。
刑務所の中に入れられたばかりの主人公はおびえた目をして独りぼっちだった。理不尽なけんかも吹っかけられた。
その後、試練を経て刑務所を牛耳るグループの中で自分の地位を確立していく主人公。
監督のジャック・オティアールはインタビューにこう答えている。
「刑務所の中は、ある意味、異人種、異文化のカオスです、現実世界にある諸問題は生々しくむき出しになって存在しています。この物語は塀の外にいるわれわれにとっても普遍性を持って迫ってくるでしょう」
刑務所の中という小さいテリトリーの中で、どうすればよりよい環境の部屋(設備)を獲得できるか、ともがいている登場人物は現実世界の縮図ともリンクする部分もある。(そのやり方は決して真似できるものではないのだが、彼らがいかにそれを得るために頭を使っているのかを見ることもできる)
しかし、居場所の獲得に成功しても、誰かの庇護の下で無ければ生きられない。
「お前は一生俺の影の中で生きていくんだ!」という台詞が印象に残っている。
結末まで言ってしまうともったいないので、これくらいしかかけないのだけれど、主役のマリクを演じたタハール・ラヒムは話が進むごとに精悍さが増していき、終わり方はとてもすがすがしい。
今のところヒュ^ーマントラストシネマ渋谷でしか上映していないのだけれど、もっと多くの人にこの作品を見て欲しいと思う。