まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

真の証明

ETVの地球ドラマチックは海外の良質なドキュメンタリーを放送する番組で、毎週録画して見ている番組の1つだ。


今週はオークションに出された19世紀のドイツの画家によってかかれたとされる絵(後に美しき姫君と名づけられる)が、実はレオナルド・ダヴィンチの作品かもしれないという話が持ち上がり、その真贋めぐって様々な分野の専門家が検証を行っている姿を追った内容だった。

作品の検証は美術、歴史、科学の3つの側面で行われた。

美術家が模写をした結果、作者は解剖学に精通しており、左利きの画家によるものと予想した。(ダヴィンチの弟子には右利きはいなかった)
歴史学者は絵に描かれた女性の髪型から身分を割り出し、ダヴィンチのパトロンの妻であると予想した。
科学者は絵のキャンバスと使われた羊皮紙の年代はダヴィンチが生きていた時代のものであると判定した。(しかしこれについては、その時代のものを手に入れ、贋作家が描く事ができる可能性もある。)
また、精密な絵の写真から、絵の修正が施されている部分が既にダヴィンチの作品のものと一致していることがわかった。

最終的には絵が独立したものではなく、若くして亡くなった絵のモデルを悼んで作られた詩歌集から取り外されたものだということがわかり、ダヴィンチが描いたものの可能性が高い。という内容だった。

放送の後に絵の一部にダヴィンチの指紋と思われるものが残されていたようだ。
しかしながら、まだダヴィンチの作品だと納得のいく判断がなされていない。

反論側の意見を読むと言いがかりのような意見に見えるものの、ダヴィンチの作品だと信じて調査をする側は、「ダヴィンチの作品であってほしい」という願望がどこかにあり、良い面だけをとらえようとしないように努めているという。

これだけ判断を難しくしているのも贋作の存在があるからで、本物ではない証拠はないから真という結論を導くのは難しいのだろう。

以前同様の番組でツタンカーメンのDNA鑑定やCTスキャンを行って、死因や家系図を復元するという内容が放送されていたけれども、それに比べたら人の手を離れた後に手を加えられたものの同定はまだまだ発展途上なのだなと思い知らされるのだった。