回り道
大きな回り道をしてまた元に戻ってつつある感じがする。
とはいえ、スタートした時と同じ所ではなく、寄り道した分スタートの位置からは下がっているのかもしれない。
ただ、他の所で寄り道した時に体験した事柄は蓄えてある。初めて走り出した時のようなスタートダッシュのスピードは遅いかもしれないが、持久力と途中で足を引っ掛けてしまうだろう石ころには気づけるほどの視力はついている。その分遠くまで行けるだろう。
いけるはずだ。
好きな言葉や気になった言葉はそれ専用の手帳に書き留めたりしているのだけれど、
回り道をいとわなかったのがこの言葉があったからだと思う。
「わたしがこれほどいろんなことー油絵、新聞連載、政治風刺画ーに手を染めたのはなぜか、
そのわけをキミコは知りたがりました。ただひとつのことに全力を傾けるほうがいいのではないかと、
遠慮がちに彼女はたずねます。
ほんとうに、彼女のいう通りです。自分が選びとった道からはずれるようなことは、すべきでないのでしょう。でも、どこに通じているかわからないけれども、ひきよせられてしまうわき道というのは、たくさんあるのです!(じっさいこういうわき道にそれてしまって、わけがわからなくなるのも、めずらしくありません。)
生きるということは、思いつく限りの可能性や驚きがいっぱいつまった〈びっくり箱〉の中に、とびこむようなものかもしれませんー好奇心のあるあいだは、の話ですが。」『ムーミン谷の旅』(講談社)作者:トーベ・ヤンソンの言葉