まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

思い出のマーニー

思い出のマーニーを見てきた。
病弱で人付き合いが苦手な主人公が療養先でマーニーと出会い、友情を築くことで少しだけ成長する話だ。
 
予告編を最初見た時の印象では主人公の髪型で少年と勘違いをしていて、水辺の向こうのお屋敷にいる少女:マーニーとの出会いと別れがある、華麗なるギャツビーの子供版のようなものかと予想していた。けれどもいい意味で裏切られた。
 
主人公の杏奈は自分の境遇(生みの親がいないことと、育ての親が行政からお金をもらって自分を育てていること)に負い目を感じている。その一方優雅な暮らしをしているマーニーをうらやましく思う。しかし一方でマーニーは屋敷の中で自由に動き回れないことが苦痛であり、例え親子の血のつながりがなくてもきちんと育ててくれる杏奈の境遇もうらやましいと思っている。
 
お互いがお互いを補完する形で友情をはぐくむ。
当初はマーニーが杏奈をリードして物語が進行していたが、後半からは逆に杏奈がマーニーの恐怖の根源を克服するための手助けをする。そして赦し。
 
杏奈がマーニーを赦さなければ、マーニーとの友情は終わってしまっただろう。過去の自分であれば(七夕まつりの時のように)悪態をついて、拒絶することもできたはずだ。けれども、それをしなかったのはそれだけ強い友情ができていたことになる。
 
最後に、杏奈が影で欲していた友情よりも強いつながりがマーニーとの間にあることを知る。
タイトルは「思い出のマーニー」で少しだけ成長した杏奈には療養地に置いてきたような印象を与えるが、
マーニーとの出会いは杏奈の芯となる存在になっただろうから、「思い出」として残しておくには忍びない。
 
***
 
本編ではほとんど場面が出てこなかったけれども、療養先の家庭での親と杏奈の距離感が適度に離れていてよかった。親が心配しなくても子供は勝手に成長する。何か間違ったことをした時はキチンといわなければいけない場面もでてくるだろうが、それ以外はある程度口出しせずに遠くで見守っておくことも一つの育てなのだと感じる。