まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

葉ワサビ

葉ワサビ、という寿司ネタを知ったのはある立ち食い寿司でのことだった。

近くにいた二人連れの客の帰り際に「葉ワサビおいしかったね」の一言が耳に入ってしまったので、とたんに試してみざるを得なくなった。
全く知らない赤の他人にもかかわらずそういう言葉を聞いたり、最近では食べログのような口コミサイトでよい評価なのを目にすると盲目的に気にしてしまうのは情報のフィルタリングに意識を向けていないのだろうか、と反省しつつも、どこかで「それは味の好みは人それぞれだし、合わないこともあるだろうな」とは思ってはいる。
けれど、試してみるのに躊躇わない値段設定がそのネタを注文することを後押しする。
幸い、辛いのは苦手ではない。トウガラシやししとうの辛さはむしろ好みだ。
 
「辛さはどうしますか?多めにいっちゃいますか?」という声に「はい」と安易に答えたのも、辛さによる抵抗がないからだった。(今思えば、なぜ職人がそう薦めたのかは分からない。多分大目を頼むのが普通なのだろう、と予想したのと、トウガラシの辛さと同じ感覚でとらえていたから断る理由もなかった)
 
トウガラシと同じ感覚で辛みを予想したうえでかぶりついた葉ワサビ巻きだったが、一口かじった後に口の中に広がる揮発性の辛みに思わず息が詰まる。今まで体験したことのない辛みに身体が素直に反応して変な汗が出てくる、涙もでてくるし、飲みこんでない口の中で咀嚼すればするほど広がるワサビ臭に思わずむせかえった。そういえばワサビは揮発性が高くて練りワサビはシクロデキストリンで香りが逃げないように保護されているのを走馬灯が廻るように思い出したのだった。
 
予想外に取り乱してしまった私に「鼻から息をいれればむせませんよ」、とのアドバイスをもらい、残りも少しづつ食べる。食べ方を覚えると、ワサビの刺激も後押しして、頭がシャキッとする。(カフェインよりも即効性があるので、頭がぼんやりしている時に食べると、一気に目が覚めることだろう。)ワサビと一緒に付けられているネギの食感も楽しめる。
 
脂っこいネタの後に食べるのもいいし、食欲増進のために最初に食べてもいい。
ただし、ワサビの辛味に慣れていない人は控えめに。
 
 
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ちなみにここで食べられます。70円です。