まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

金沢にて

遅い夏季休暇で2泊3日で金沢を旅行してきました。

金沢を選んだ理由はこれといってなかったのですが、海外には何度か行っているのに、
日本ではまだ訪れたことがない箇所がいくつもあることと(日本海側および広島県より西側)、
そして、いつかは訪れたいと思っていた美術館(21世紀美術館)があり、飛行機を使うと意外にも安く行ける(羽田からの往復と宿泊費込みで一人3万円程度)のが決め手でした。
 
金沢の事前知識は21世紀美術館兼六園くらいでしたが、調べてみると市場があったり、武家屋敷があるとのこと。ですが、予定は最低限行く所だけピックアップしておき、あとは現地で考えるようにしました。これは、あらかじめ予定を固めてしまうと、その場所を楽しむことよりも、時間通りに移動することに意識が向いてしまうことと、現地で寄り道してみたい場所に出会った時に柔軟に対応できるからです。
 
羽田から1時間で小松に到着し、そこからバスで40分で金沢駅に到着します。
先ずはその駅の広さに驚きました。駅ナカの土産売場や飲食店が充実しています。近くにはホテルが立ち並ぶとともに、複数のテナントが入ったビルもあります。(中心街の香林坊には路面店もあり、東京の表参道や銀座とまではいかないですが、なかなかファッショナブルな街といってもいいかもしれません)観光名所として知られる兼六園21世紀美術館は駅から少し離れた場所にあるのですが、今回は自転車を借りて街の雰囲気を感じることにしました。
 
レンタサイクルは「まちのり」を使いました。
 
1回200円で30分間乗れるのですが、このシステムがすごいのは金沢駅から観光地の周辺にいくつもの
駐輪場があり、30分以内にどこかの駐輪場に止めてしまえば、新たに乗る時の料金はかかりません。
つまり、一度支払ったら30分を超えて乗り続けない限りは追加料金が発生しないシステムになっている。フランスの交通機関には90分以内であればメトロ、バス、トラムに乗り換え自由というシステムがありますが、この「まちのり」は移動手段は自転車のみではあるが、うまく使えば良心的な金額で市内を回ることができる。ちなみに各スポットは最初は駐輪場の場所を探すのに戸惑うものの、10分程度で行けるような場所に設置しているので現地の地理に疎い観光客にはうれしい所です。(各スポットの地図が自転車に備え付けられているのもよいです)
 
肝心の観光内容ですが、21世紀美術館はやはり訪れてよかったです。丁度8月末までこの美術館の代表的なプールの展示の作家でもあるレアンドロ・エルリッヒ の展示をしていて、目に見えるものが本物なのかだろうか、と問いかけるようにそっと挑戦を仕掛けてくる姿勢がちりばめられており、見ごたえがありました。また、「タレルの部屋」(入館料を払わなくても見られます)は展示としてはシンプルなのに、とても居心地の良い空間でした。検索すればいくつも写真が出てくるのでどういうものかは分かっていたつもりではありますが、やはり実際にその場所に身を置いてみないと分からないものがあるのだな、というのが率直な感想です。空を四角で切り取った空間といってしまえばそれまでなのですが、あの器のような空間の中から空をぼーっと眺めている時はまるで川の流れを見ているような感覚で無心になり、さらに視界が一部遮られているためにどこか閉鎖的な場所にいるような気分にさせられます。タレルの部屋自体は一定の人が座って見られるようにはなっているものの、いつも以上に孤独になる空間になっていました。ちなみに、一番好きな瞬間は日差しが中の空間に差し込んでいる間で、地底人がもしいるとすれば太陽が恋しいと思うのはこのような瞬間なのだろう、と背中をひんやりとした石でてきた椅子に預けながら思うのでした。
 
 
 
その他印象に残っているのは長町にある野村屋という武家屋敷です。武家屋敷というと無骨な作りを想像していましたが、決して大きくはないのに回遊式の庭園と濡れ縁から眺める風景はその作り手の意思が感じられます。ちなみにミシュランで☆☆を獲得しているようですが、納得のいくものでした。
 
 
食事は近江町市場が便利でした。魚介類や野菜などの特産物が売られていますが、食堂もいくつかあります。残念ながら、中には観光客目的の値段設定をしている店もありますが、1日1回はぐるぐる回ってみていると、積極的に客引きをしている店はお薦めはできません。逆に声をかけない店の方が信頼性があるような気がします。地元の人がよく行く店を知るのは難しいですが、行列に並んでいる年齢層に多様性がなかったり、逆に観光客ではなさそうな荷物を持っているおばちゃんたちがどういう店にいるのか、を見ると地元の人に利用されている店がどれか分かるような気がしました。
食材は魚がおいしかったですが、特にお米とお酒がおいしかったです。(日本酒は後に残るので苦手だったのですが、今回飲んだお酒は後に残ることなく、飲み口もあっさりとしていました。)元をたどればそれは水がよい、といえるでしょう。ちなみにお勧めの店は、「もりもり寿司」と「近江町食堂」です。
 
その他:町全体が綺麗でした。特に金沢駅周辺はボイ捨て禁止区域となっているようです。喫煙者は男女問わず都内で見るよりも多いように思えましたが、きちんと喫煙場所を作って、歩きたばこをしないように気を配っているように見えました。また、色々なところで高齢者の方が仕事をしているのが印象的でした、例えば21世紀美術館の展示の管理であったり、前に書いたレンタサイクルの自転車の管理(各スポットに乗り捨てできるので、観光名所に自転車が集中して円滑な移動ができなくなるので、多すぎる自転車は他のスポットに移している)など。東京都に比べれば圧倒的に人材は少ないものの、地域住民の協力を得て地域の事業に参加することでやりがいもできるし、県外の人との交流にもつながるので、結果地域の結束が強められる効果が期待されます。
 
北陸地方は冬になると雪におおわれるので、夏とはまた違った景色が楽しめるので、また時間を見つけて訪れてみたい場所になりました。

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Magic hour