まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

カウンターから見る風景

しばらく遠のいていた店に足を運ぶ。
 
新しい店を探しに行くことは、まだ見ぬ風景に出合うことでもある。
 
仕事が忙しい時には、落ち着いたらあの店に行こう、と思っていても、いざ落ち着いてしまうと忙しさ故に夕飯を外で済ませてしまうことも多かったことを思い出して、
少しは自炊しないといけないな、と結局店に向かうことを自ら放棄していた。
 
なので、店に行く時には事前に予め予約するよりも、ふらっと立ち寄るのが合っている。
 
外で食事をしたり、喫茶店に行く時は大抵カウンターに坐ることにしている。
当然のことではあるが、何か変なものをいれてないだろうか、と穿った目で見ているのではない。
 
厨房に立っている時の真剣な表情であったり、体の動きを眺めている。
なんども同じ動作を繰り返していると思われる作業には無駄な動きや迷いがない。
 
せわしなく動く手元を眺めながらまもなく供される味の想像をしてみる。
その他には調理場の食器を眺めたり、簡単にその風景をペンで描いてみたりする。
 
鞄に入れてある本をとりだしてみても、印刷された文字よりもその場で起こっている作業に意識が向いてしまう。
 
以前対談で紺野さんと平野さんのトークショーで好きな店のことが好きになると、透明人間になってその空間の隅っこでじっと眺めていたい、という話があったけれども、
まさにそんな感じだ。店の備品となって陳列されていたい気持ちになる。
 
内臓を中心に構成されたメニューが多いため、メニューはどれもしっかりした味かと思いきや、新鮮な食材と匂いをしっかりとっているせいか、くせは感じさせずに
食感や味はしっかりと残っている。
 
今回食べた中で特に気に入ったのは黄金蕪を使った冷たいスープで、しっかりとした味の蕪をそのままペースト状にしたもの。
見た目は味気ないように思えるけれども、たくさん野菜をつくって作ったシチューのスープのようだった。
 
ずいぶん久しぶりに足を運んだので、お店のマスターは覚えていないだろうなと思っていたけれども、ありがたいことにちゃんと覚えていてくれた。
次回はもう少し時間をあけずに訪れたい。
 
店の名は新富町にあるnodo rosso
 
主に一人で切り盛りしているお店ではあるけれども、ソムリエできるので料理に合わせたお酒を出してもらうこともできる。