まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

茨城県北芸術祭(海側)に行ってきた。

少し時間が経過してしまったが、北茨城で開催されている茨城県北芸術祭(以下通称kenpokuと表記)に行ってきた。
kenpokuは大きく分けて山と海の2方面での展示がされている。
今回は海側の展示を回った。海側の展示は日立が中心で最も北が津港町になるが、上野から特急でおおよそ2時間ほどで着く。
 
基本的に広範囲に渡って展示がされているので、車での移動が望ましいのだが、土日祝日はエリアごとに循環バスが出ているし、
調べればバスを利用しても行くことができる。
 
以下印象に残った展示について紹介
 
須田悦弘六角堂) 
六角堂は311の時に流されたものの、翌年に建て直されたという。現地は晴れていたが、言われてみると確かに周囲の波は予想していたよりも荒々しい。剥き出しの岩礁が沖からの波をある程度抑えているのだなとわかる。
パスポートを持っていると場合250円(持っていない場合は300円)であるが、訪れる価値はある場所。
展示は須田さんの作品を既に知っている人ならおなじみの彫刻だが、建て直されてまだそれほど時間が経過していないにもかかわらず、がらんとした空間の中に雑草が生えている。そこに生えていることはある程度の時間が経過していることを想像させる。
海の間近に建てられた六角堂が流されるまえにどの程度朽ちていたのかはわからないが、あの場所に庵を造った岡倉天心の決断にも恐れ入る
 
AKI INOMATA(うのしまヴィラ
うのしまヴィラは循環バスは出ていないが、市内バスを利用してちかくまでいくことができる。日立駅  中央口 2番のりば 75/77番バス 祝崎下車
 
ヤドカリの殻に9種類の都市が載っている。もちろん都市の全てではなく、パッと見たときにその場所だとわかるような象徴的な建物を選んで載せているのだろう。3Dプリンタで作られたらしいヤドは都市の縮図とも言えるかもしれない。作られたヤドは実際にヤドカリのヤドとなっており、私が訪れた時は東京のヤドにヤドカリがいた。
透明な素材で作られているため、ヤドカリの守らなければならない場所は外からも見ることができるのだが、ヤドカリがこの透明なヤドを選んでいるということは、ヤドカリはヒトと同じく可視光が見えるわけでもなく、また、魚もそうなのだろう。身を隠せる一定の強度と大きさがあればヤドとして利用できるのだろう。ちなみに、ヤドカリはヤドを争うことがあるらしいが、ヤドカリにとってどの都市が最も強い都市なのだろう(おそらく全体のボリュームだと思うが)など興味は尽きない
 
※バス停と時刻表の調べ方 目的地の近くのバス停を調べる→ 近くに大通りがないか調べる。googlemapではバス停の名前までは分からないのでNAVITIMEの地図を使う。
該当のバス停が止まるバスや時刻表もNAVITIMEで調べられる。祝崎の場合は1時間に一本だった。帰りの日立駅行きも同じく1時間に1本だが、行きと帰りの時間は20分ほどずれているので、1時間20分ほどの余裕がある。祝崎から うのしまヴィラまで徒歩で10分以内で、展示の他に昼食を食べられる場所があるので、バスを利用していく場合は昼食時に合わせていくのが良いと思う。
 
芸術祭と名打っているため、表向きの目的としては各所に点在しているアートを見ることだけれども、期限が限られたアートをめぐるよりも、その場所でしか見られないものを見るという姿勢でもよいと考えている。以下そんなことを感じた場所を紹介。
 
●高戸海岸 大浜
 
ここの浜は夏にビーチバレー大会が開かれるほど賑わいがあるのだという。遠浅で静かな海、そして何より砂浜が白くきれいだった
海にはサーフィンをする人もちらほらいて(鎌倉のように混み合っていないのがまた良い)いつまでも眺められる風景だった。
 
ここには空の破片が展示されている。大風が吹いたときに空のかけらが壊れてその一部がこの砂浜に落ちてきたというストーリー。
訪れた時は夕方で昼間の晴天から曇ってきつつあった。21世紀美術館のタレルの部屋のように、天候によって印象が違って見られる作品だと思う。
 
ちなみに、この近くに小浜もあるが、こちらにも作品が展示されている。こちらの渚は美しい場所として取り上げられているという。
こちらはなかなか波が激しく、また渚の両側から波がぶつかり合う瞬間がある。なかなか見られない光景なので、面白い作りだなという印象を受ける。
 
今回訪れた時は夜の天気は曇りか雨だったが、晴れていれば天の川も見られるようなので次回晴れた夜に訪れてみたい。
 
●日鉱記念館  中央口1番乗り場60番 バス 日鉱記念館前
 
鉱山としての歴史があるJXグループの記念館。記帳が必要だが無料でみられる。
鉱物の採掘の歴史的資料を見ることが出来る。技術が進歩しても基本的な手法は変わっておらず、エネルギーを採掘するために多大なエネルギーが必要になることを改めて感じる。
採掘に使われた機材や当時採掘場近くで生活していた人の風土も紹介されている。
日鉱記念館の先には御岩神社もあり、休日は循環バスが通っている。
 
訪れたのは初日と二日目だったのでまだこれから課題が出ると思われるが、改善したほうが良いと思われること。
 
・バスの連携
バスは交通事情によって多少のずれが生じることがあるが、利用したバスの目的地の到着が遅れたため、滞在時間を少し伸ばした。
その結果次の目的地に行くバスに乗り換えることができなくなってしまった。車で回らない人にとって移動手段は限られているため(レンタサイクルはなかった)
効率よく回るには移動バスの連携が重要だと思われるので、滞在時間よりも移動場所への連携に重きを置いてほしい。
 
・公共移動手段の記載
広範囲にわたって訪れるポイントが散らばっているので、最も効率の良い回り方は車を利用することだと思われるが、現地以外の方面から見学しに来る人にとっては循環バスや市内バスを利用する手段がある。けれども、上にあげたうのしまヴィラや日鉱記念館の行き方はガイドブックには循環バスのみの手段しか書かれていない。芸術祭に訪れる人の移動手段の属性の比率(場所でいうなら県内、県外、移動手段なら自家用車、レンタカー、循環バスなど)がどの程度なのかは分からないが現代アートというくくりでいうならば展覧会に行く機会が多いが車を運転しない層も一定数いるのではないかと思っている。公式サイトは定期的に更新されているのでこれらの情報を記載してもよいと思う。
 
 今回は海側を中心に回ってけれども、次回は山側を中心に回ってみたいと思う。