まいにち。まいにち。

「誰からも頼まれもしない」ことを勝手にしよう(森博嗣)

Denmarkにて2/2 (Copenhagen、Ribe)

ミーハーなので、有名なレストラン、Nomaへいく。2月末で別の場所に移るようだが、この日は営業していた。ランチの予約をキャンセル待ちでしていたのだが、残念ながら空きは出ず、外から眺めるだけだった。場所は橋のたもとの古い建物にひっそりとNomaとかいてあるだけで、何も知らない人がいたらあっさり通り過ぎてしまうかもしれない。近くにあるアパートがおしゃれだな、と思って眺めていたら、どうやら賞を取ったらしい。レンガのファサードでオーセンティックなイメージを出しながらも、今の雰囲気を醸し出している。

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繁華街に向かってぼんやり歩いているところ、正面から声をかけられる。驚いて意識をそちらに向けると、昨日少し話した方だった。たまたまOrdrupgaardへ行くバスの中で一緒になった方だ。基本的には旅先で同じ国のもの同士で話すのはあまり好みではないので距離を取るようにしている。ましてや向こうは3人なのでその必然性もなかった。とはいえ、それからフィンユール自邸の入口や出口でも会うので声をかけてみたら、一人は同じ業界の方だった。その方は近隣の国で仕事をしており、二人は日本で仕事をしているという。たまたま私が背負っているリュックが同じメーカーということもあったのか、すぐに打ち解けてしまった、にもかかわらず名前を聞いておくのを忘れていたのだ。連絡先は別に要らないので、名前だけでも聞いておけばよかったな、と昨日の夜それだけが後悔だった。
けれども、次の日また出くわすとは。「Your nameかよ」と思わずひとりごちる。互いのこれからの健闘を祈るとともに、名前を交わしてまたすぐに別れたけれども、近い仕事をしていればまたいずれどこかで出会うだろう。
 
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西に向かう4時間ほどの長旅になる。 国鉄はあらかじめ席を予約していったほうが良い。今回サイレントシートという席を予約したが、静かに本を読んだり、眠ったりするには最適の空間だった。隣の人は静かに編み物をしており、傾いた日に照らされれながら黙々と毛糸に向かう姿を瞼のシャッターに焼き付けた。
 
乗り換えのためにBramminghamに降り立つと、直線に西に来ただけなのに、都心部では感じなかった肌寒さが襲う。マフラーをしっかりまく。霧が土から立ち込め、GPSがなければ霧とともに迷子になってしまっただろう。
 
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Ribeにて
宿泊した場所はRibeの大聖堂の目の前のWise Stueという1600年代からある古い宿兼料理屋。床は斜めに傾いており、いまでいう欠陥住宅になってしまうのだろうが必要最小限の施設は整っており、比較的快適に過ごすことができた。この時期は夜に夜警の案内をしてくれるイベントがあるので、参加してきた。全編デンマーク語なので理解はできなかったがそれでも雰囲気だけは楽しむことができた。

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朝はホテル近くのパン屋pompei へ行ってパンを買う。昼間はひっそりしているのに、オープン直後は地元の人であふれかえっているパン屋だ。
ブラウンチャバタがとても香ばしくておいしかったので二日連続で食べた。
身支度して駅に向かう。これは賭けだった。前日宿の主人にタクシーの手配を頼んだが、そんなに早くは呼べないと断られてしまったのだった。ここが東京だったら朝8時にタクシーを捕まえるのはそれほど難しくないかもしれない。けれどここは田舎町だった。祈るような気持ちで駅前に向かうと、一台だけ止まっていた。目的地を告げると、「早起きは三文の得だね!」とにこやかに告げられる。私にとってもそうだった。コペンハーゲンでは晴天の日が続いたが、今日の天気は曇り、一時雨だという。天候が荒れたときは事前に連絡するとあったが、イベント主催者からは特に連絡はなかった。
 
つい2週間ほど前に新しくオープンしたばかりのvadehavscentret は、朝もやの中ひっそりと建っていた。

http://www.vadehavscentret.dk/

この一帯はほとんどなだらかな平地にあるとともに、遠浅の海が近くにあるので、自然環境を身近に触れることができる施設だ。世界遺産にも認定されているようだ。facebookですでに全体を見ていたものの、こうして間近に見てみると日本の家屋に近しいものを感じる。藁ぶきに覆われながらもその姿は海に向かってジャンプするクジラのような雄大な形と傾きをしている。この建物はDenmark出身の建築家が設計したようで、私たちになじみのある藁ぶきもこちらでも屋根材として利用しているのは興味深かった。(最近フィン・ユールに関する本を読んだら、彼が日本の建材がデンマークと共通しているものがあって興味を持って調べていたという記述があり、日本の北欧家具を好む理由もこのなじみやすさからきているのかもしれない)
奥に回ると屋外の待合所や離れの事務所がある。

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今日は潮干狩りならぬ、牡蠣狩りに来た。最初は地元の大学の地学の先生から牡蠣の生態について話があり、服装の準備をしてから車で現場に向かう。私は先導する先生の車に同乗させてもらった。質疑応答しながら現場に向かう。デンマークの牡蠣は日本に由来するものらしい。どおりで形が似ている。
 
ぬかるみに足を取られたり、目的地は先導する方しか知らない中でに向かった先は広大な牡蠣の養殖場だった。一日のほとんどを海の中にあるこの養殖場の潮が引く数時間を利用して、牡蠣狩りが定期的に行われている。とはいえどこからどこまでが養殖場なのか。目に見えている範囲すべてなのかもしれない。牡蠣は海藻の周りにへばりつくように育つ。最初は見分けがつかなかったが、そのうちだんだんとコツをつかんでとれるようになってくる。もちろん牡蠣はにげないので取り放題といえばそうなるのだが、食べられる以上のものを取ってはいけない。

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※牡蠣の養殖場、一面海藻に覆われている(実際今回のイベントで行った場所はもう少し海藻が少ない処だった。この場所は本格的に売買されるための牡蠣が眠っている)
 
Esbjerg
ノルウェーに向かう前に経由する駅Esbjergに少しとどまった。ここは港街だが、駅は少し内陸にあるので、海岸線は見えない。駅の反対側には巨大なショッピングモールが建設中で、市内の中心部を歩くとシャッター通りに出くわす。国が違えど、日本と似たような街並みがあることに気づかされる。けれども、局所的ににぎわっている場所があって、例えばフィットネスクラブだったり、ビュッフェスタイルの食べ放題の店だったりは盛況だった。
 
駅前からバスに乗り、空港に向かう。ヘルシンキに入ったときにはEU外なので入国審査までの順番に時間を取られたが、これから行くノルウェーは同地域内なので保安検査のみで終わる。
フライトも1時間なので、日本だと東京から九州や北海道に行くくらいの距離に別の国がある。日本にいるとなかなか感じられないので新鮮である。
 
日が変わる手前にOslo空港近くの宿にチェックインするが、北に移動してきたためかより寒くなってきたと感じる。
 
次回に続く